ソースコードで学ぶWebプログラミング

[Python]カレンダーの作り方

カレンダーは、ブログの更新状況から営業スケジュールの表示、予約受付フォームの表示など用途は多く、広く使われています。今回はPythonで、実務でも必要になることが多いカレンダーを作成してみます。

Pythonでカレンダーを作る方法

Webプログラムでカレンダーを表示するには、どのような機能が必要となるか洗い出してみます。まずカレンダーは、年と月が特定されて初めて表示できるものです。そこで年と月をブラウザから指定できる構成にします。

またカレンダー上には、第一週や最終週に前月や翌月の日付も表示されるものがあります。今回は、この機能も実装してみます。

1.データ「年、月」を受け取る ・GETリクエストで受け取る 2.データ「年、月」を表示データ「日付リスト」に変換する ・表示データは、曜日ごとのカレンダー形式で表示する ・表示データには、前月の日付、翌月の日付も含める 3.表示データを表示する ・カレンダーは、日曜から表示する ・土曜、日曜、祝祭日で色を変えて表示する

Pythonで月の日付の配列を作成する

カレンダー表示で必要となるデータは、カレンダーに表示する「日付リスト」です。これは指定した月については、月の日数が分かれば、求めることが出来ます。また第一週に含まれる前月分の日付リストは、月初1日の曜日から算出できそうです。同様に最終週に含まれる翌月分の日付リストも、月末の曜日から算出できそうです。

処理するデータは「年、月」は、ブラウザから受け取る必要があります。デコード用のモジュール cgi_decodeを使うので、こちらからダウンロードして下さい。

#!/usr/bin/python3 from datetime import datetime, timedelta, timezone import calendar import cgi_decode cgi_decode.Set() # GET,POST,COOKIE,FILES が使えるように # タイムゾーンの生成 JST = timezone(timedelta(hours=+9), 'JST') # 現在日時 date = datetime.now(JST) # 年の指定 初期値を当年に y = int(GET.get('year',date.strftime('%Y'))) # 月の指定 初期値を当月に m = int(GET.get('month',date.strftime('%m'))) # 指定年月の1日の曜日と月の日数 w1, t1 = calendar.monthrange(y,m) # 指定年月の前月の日数 (_y,_m) = (y-1,12) if m < 2 else (y,m-1) _, t0 = calendar.monthrange(_y,_m) # 指定年月の月末曜日 w2 = calendar.weekday(y,m,t1)

Pythonでは、標準ライブラリcalenderのmonthrange(年,月)で該当する月の1日の曜日と月の日数を取得することが出来ます。またweekday(年,月,日)で該当する日の曜日を取得できます。

曜日は0-6の数値になっていて、0が月曜で6が日曜になります。週は7日あり、月初1日の曜日が土曜(5)の時、第一週の前月分の日付は、日曜スタートのカレンダーでは6日あります。日曜(6)の場合は、0日になります。日曜が-1であれば計算しやすいので、-1にします。

また前月の月末日が31日だった場合、6日分のリストは、26,27,28,29,30,31になりますが、開始日を求める算出式としては 31-土曜(5)=26 となります。

# 日曜の場合-1に if w1==6: w1 = -1 if w2==6: w2 = -1 # 月の第一週に含まれる前月の開始日を算出 st = t0-w1; # 前月の第一週分の日付を生成 days = [] if t0<st else list(range(st,t0+1)) # 指定年月の日付を生成 d1 = list(range(1,t1+1)) # 月の最終週に含まれる翌月の最終日を算出 end = 7 -(w2+2) # 翌月の最終週分の日付を生成 d2 = list(range(1,end+1)) if 0<end else [] # 生成した日付を一つの配列に統合 days = days + d1 + d2

Pythonでは、range(開始,終了)で指定した範囲の値の配列を作成できます。最終週に含まれる翌月の日付は、月末の曜日が土曜(5)の時、0日で、日曜(6→-1)の時、6日あります。よって、7 - (曜日+2) で求めることが出来ます。

# 配列を分割して2次元配列にする関数 def chunk(li,n): return [li[x:x+n] for x in range(0,len(li),n)] days = chunk(days,7)

日付リストはカレンダー表示の場合、7日毎に分けてあれば表示する際に処理しやすいです。Pythonでは、配列を分割する関数は標準ではないため、作成しています。

Pythonで祝祭日を設定する

祝祭日を算出するアルゴリズムを構築する方法もありますが、今回は休業日などに対応するため、配列に設定するかたちで実装します。

# 休日を判定する関数 def is_holiday(date): # 2019年分 tu = ( # 祝祭日 '20190101', '20190114', '20190211', '20190321', '20190429', '20190503', '20190504', '20190505', '20190506', '20190715', '20190811', '20190812', '20190916', '20190923', '20191014', '20191103', '20191104', '20191123', '20191223', # 休業日 '20190102', '20191230', '20191231', ) return date in tu

Pythonでjsonデータとして返す

javascriptで動的に表示を切り替えたい場合は、jsonデータで渡すことになります。Pythonでは、標準ライブラリjsonのdumps()で配列や連想配列をjson形式に変換することが出来ます。

# JSONデータに変換して表示 import json print("Content-Type: application/json; charset=utf-8\n") print(json.dumps(days))

今回は、ブラウザで年月の指定も行いたいため、jsonデータをtextarea内に出力する構成で作成します。土曜は青色、日曜は赤色の文字色にし、前月、翌月の日付は灰色で表示する予定としてcssも作成しています。

# htmlデータで出力 if GET.get('type')=='html': # jsonデータで出力 else: html = '<textarea>'+ json.dumps(days) +'</textarea>' r1 = ' checked' r2 = '' ht =''' <title>[Python]カレンダーを表示</title> <form> <input type="number" name="year" min="1" max="3000" value="{}">年 <input type="number" name="month" min="1" max="12" value="{}">月 <label> <input type="radio" name="type" value="json"{}>JSONデータ </label> <label> <input type="radio" name="type" value="html"{}>HTMLデータ </label> <input type="submit" value="送信"> </form> '''.format(y,m,r1,r2) print(ht) print(html) ht =''' <style> form,textarea,table { display: block; margin: 30px auto; width: 70%; } input { margin-right: 5px; padding: 5px; } th,td { text-align: center; } .gray { color: #aaa; } .red { color: #f00; } .blue { color: #00f; } </style> ''' print(ht)

PythonでHTMLデータとして返す

最後にHTMLの状態で表示できるようにしてみます。日付リストは、週ごとの配列になっているので、第一週の時に出現した1日を基準として、前月分の日付を判定できます。また最終週に含まれる翌月の日付も1日を基準にして判定可能です。

日付リストの曜日は、週ごとの配列の1番目が日曜で、配列の添字0、最後が土曜で配列の添字は6です。下記のコードでは、i が週ごとの配列の添字、j が日付の配列の添字になっています。

# htmlデータで出力 if GET.get('type')=='html': html = '''<table> <tr> <th class="red">日</th> <th>月</th> <th>火</th> <th>水</th> <th>木</th> <th>金</th> <th class="blue">土</th> </tr>''' # 文字色の初期値を灰色に cls = 'gray' for i,week in enumerate(days): html += '<tr>' for j,v in enumerate(week): # 第一週の時 if i==0: # 日付が1日 if v==1: cls = '' else: # 第二週以降で日付が1日 if v==1: cls = 'gray' # 初期色以外の時 if cls != 'gray': if j==0: cls = 'red' elif j==6: cls = 'blue' else: cls = '' html += '<td{}>{}</td>'.format((''if cls=='' else ' class="'+cls+'"'),v) html += '</tr>' html += '</table>' r1 = '' r2 = ' checked'

さらに作成した休日判定の関数を利用すれば、休業日だけ色を変えることも出来ます。注意点として、休日は年月日の8文字で設定したので、利用する場合は、format()などで日付を整形してから引数として渡す必要があります。