ソースコードで学ぶWebプログラミング

[Ruby]カレンダーの作り方

カレンダーは、ブログの更新状況から営業スケジュールの表示、予約受付フォームの表示など用途は多く、広く使われています。今回はRubyで、実務でも必要になることが多いカレンダーを作成してみます。

Rubyでカレンダーを作る方法

Webプログラムでカレンダーを表示するには、どのような機能が必要となるか洗い出してみます。まずカレンダーは、年と月が特定されて初めて表示できるものです。そこで年と月をブラウザから指定できる構成にします。

またカレンダー上には、第一週や最終週に前月や翌月の日付も表示されるものがあります。今回は、この機能も実装してみます。

1.データ「年、月」を受け取る ・GETリクエストで受け取る 2.データ「年、月」を表示データ「日付リスト」に変換する ・表示データは、曜日ごとのカレンダー形式で表示する ・表示データには、前月の日付、翌月の日付も含める 3.表示データを表示する ・カレンダーは、日曜から表示する ・土曜、日曜、祝祭日で色を変えて表示する

Rubyで月の日付の配列を作成する

カレンダー表示で必要となるデータは、カレンダーに表示する「日付リスト」です。これは指定した月については、月の日数が分かれば、求めることが出来ます。また第一週に含まれる前月分の日付リストは、月初1日の曜日から算出できそうです。同様に最終週に含まれる翌月分の日付リストも、月末の曜日から算出できそうです。

処理するデータは「年、月」は、ブラウザから受け取る必要があります。デコード用のモジュール CgiDecode.rbを使うので、こちらからダウンロードして下さい。

#!/usr/bin/ruby # coding: utf-8 require 'date' require './CgiDecode.rb' CgiDecode.new # $_GET,$_POST,$_COOKIE,$_FILES が使えるように # タイムゾーンの設定 ENV['TZ'] = 'Asia/Tokyo' # 現在日時 t = Time.now.localtime # 年の指定 初期値を当年に y = $_GET.fetch('year',t.year).to_i # 月の指定 初期値を当月に m = $_GET.fetch('month',t.month).to_i # 指定年月の月の日数 t = Date.new(y,m,-1) t1 = t.day # 指定年月の月初曜日 w1 = Date.new(y,m,1).wday # 指定年月の前月の日数 (_y,_m) = m<2 ? [y-1,12]: [y,m-1] t0 = Date.new(_y,_m,-1).day # 指定年月の月末曜日 w2 = t.wday

Rubyでは、Dateクラスのnew(年,月)で該当する年月の日付オブジェクトを生成し、dayで日数を、wdayで曜日を取得することが出来ます。

曜日は0-6の数値になっていて、0が日曜で6が土曜になります。週は7日あり、月初1日の曜日が土曜(6)の時、第一週の前月分の日付は、日曜スタートのカレンダーでは6日あります。日曜(0)の場合は、0日になります。

また前月の月末日が31日だった場合、6日分のリストは、26,27,28,29,30,31になりますが、開始日を求める算出式としては 31-土曜(6) +1=26 で1足せば求めることが出来ます。

# 月の第一週に含まれる前月の開始日を算出 st = t0-w1 +1 # 前月の第一週分の日付を生成 days = t0<st ? []: (st..t0).to_a # 指定年月の日付を生成 d1 = (1..t1).to_a # 月の最終週に含まれる翌月の最終日を算出 last = 7 -(w2+1) # 翌月の最終週分の日付を生成 d2 = 0<last ? (1..last).to_a: [] # 生成した日付を一つの配列に統合 days.concat(d1).concat(d2)

Rubyでは、(開始..終了)で指定した範囲のオブジェクトを生成できるので、to_aメソッドで配列を作成できます。最終週に含まれる翌月の日付は、月末の曜日が土曜(6)の時、0日で、日曜(0)の時、6日あります。よって、7 - (曜日+1) で求めることが出来ます。

# 配列を分割して2次元配列に days = days.each_slice(7).to_a

日付リストはカレンダー表示の場合、7日毎に分けてあれば表示する際に処理しやすいです。Rubyでは、each_slice()で配列を分割することが出来ます。分割後は、Enumeratorオブジェクトになっているので、to_aメソッドで配列にします。

Rubyで祝祭日を設定する

祝祭日を算出するアルゴリズムを構築する方法もありますが、今回は休業日などに対応するため、配列に設定するかたちで実装します。

# 休日を判定する関数 def is_holiday(date) set = [ # 祝祭日 '20190101', '20190114', '20190211', '20190321', '20190429', '20190503', '20190504', '20190505', '20190506', '20190715', '20190811', '20190812', '20190916', '20190923', '20191014', '20191103', '20191104', '20191123', '20191223', # 休業日 '20190102', '20191230', '20191231', ] return set.include?(date) end

Rubyでjsonデータとして返す

javascriptで動的に表示を切り替えたい場合は、jsonデータで渡すことになります。Rubyでは、標準ライブラリjsonのgenerate()で配列や連想配列をjson形式に変換することが出来ます。

# JSONデータに変換して表示 import json print "Content-Type: application/json; charset=utf-8\n\n" print JSON.generate(days)

今回は、ブラウザで年月の指定も行いたいため、jsonデータをtextarea内に出力する構成で作成します。土曜は青色、日曜は赤色の文字色にし、前月、翌月の日付は灰色で表示する予定としてcssも作成しています。

# htmlデータで出力 if $_GET.fetch('type')=='html' # jsonデータで出力 else html = '<textarea>'<< JSON.generate(days) <<'</textarea>' r1 = ' checked' r2 = '' end print <<HTML <title>[Ruby]カレンダーを表示</title> <form> <input type="number" name="year" min="1" max="3000" value="#{y}">年 <input type="number" name="month" min="1" max="12" value="#{m}">月 <label> <input type="radio" name="type" value="json"#{r1}>JSONデータ </label> <label> <input type="radio" name="type" value="html"#{r2}>HTMLデータ </label> <input type="submit" value="送信"> </form> HTML print html print <<HTML <style> form,textarea,table { display: block; margin: 30px auto; width: 70%; } input { margin-right: 5px; padding: 5px; } th,td { text-align: center; } .gray { color: #aaa; } .red { color: #f00; } .blue { color: #00f; } </style> HTML

RubyでHTMLデータとして返す

最後にHTMLの状態で表示できるようにしてみます。日付リストは、週ごとの配列になっているので、第一週の時に出現した1日を基準として、前月分の日付を判定できます。また最終週に含まれる翌月の日付も1日を基準にして判定可能です。

日付リストの曜日は、週ごとの配列の1番目が日曜で、配列の添字0、最後が土曜で配列の添字は6です。下記のコードでは、i が週ごとの配列の添字、j が日付の配列の添字になっています。

# htmlデータで出力 if GET.fetch('type','')=='html' html =<<HTML <table> <tr> <th class="red">日</th> <th>月</th> <th>火</th> <th>水</th> <th>木</th> <th>金</th> <th class="blue">土</th> </tr> HTML # 文字色の初期値を灰色に cls = 'gray' days.each_with_index do |week,i| html <<= '<tr>' week.each_with_index do |v,j| # 第一週の時 if i==0 # 日付が1日 cls = '' if v==1 else # 第二週以降で日付が1日 cls = 'gray' if v==1 end # 初期色以外の時 if cls != 'gray' if j==0 cls = 'red' elsif j==6 cls = 'blue' else cls = '' end end html <<= sprintf('<td%s>%s</td>', (cls==''?'':' class="'<<cls<<'"'),v) end html <<= '</tr>' end html <<= '</table>' r1 = '' r2 = ' checked'

さらに作成した休日判定の関数を利用すれば、休業日だけ色を変えることも出来ます。注意点として、休日は年月日の8文字で設定したので、利用する場合は、sprintf()などで日付を整形してから引数として渡す必要があります。